デザインスタイル辞典

作例そのものから書いた、デザイン様式の辞典。

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用語776

用語辞典

スタイル名でも、作りたいものでも検索できます。 名称一致を最優先し、その上で用途・印象・媒体から近い候補を足します。

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Novecento Italiano — Mario Sironi《コンポジション(人物のある構成)》— Fondazione Cariplo / CC BY-SA 3.0

Novecento Italiano

ノヴェチェント・イタリアーノ / 1922–1943 / スタイル / 絵画技法

前衛の解体のあと、イタリア古典の量塊と静けさへ戻ろうとした運動。単純化された堅牢な人体、抑えた土色、正面性の強い構図が、両大戦間の公共建築や壁画の語彙になった。「秩序への回帰」の代表例であり、体制との近さも含めて読む必要がある。

単純化された堅牢な人体 / 正面性の強い構図 / 抑えた土色の彩色 / 古典彫刻を思わせる量塊

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Italian Rationalism — Giuseppe Terragni《カサ・デル・ファッショ》コモ 1936 — Wikimedia Commons / CC BY-SA 4.0 · © Nicola Quirico

Italian Rationalism

イタリア合理主義 / 1926–1943 / スタイル / 近現代建築

近代建築の抽象と地中海の古典を同時に成立させようとしたイタリアの運動。白い箱に見えて、実際は柱間の律動、深い庇、大理石の面が古代の比例を引き受けている。近代と伝統を対立させない解き方の教科書。

白い量塊と規則的な柱間 / 深い庇と陰影の帯 / 大理石とガラスの対比 / 古典比例の翻案

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Stripped Classicism — ワシントンD.C. フェデラル・トライアングルの官庁群 — Wikimedia Commons / CC BY 2.0 · © User:Ancheta Wis

Stripped Classicism

ストリップト・クラシシズム / 1920s–1950s / スタイル / 近現代建築

古典建築から装飾だけを削ぎ落とし、比例・軸線・柱の律動だけを残した官庁・記念建築の様式。装飾がないのに古典として読めることが、権威を語る低コストな手段になった。ミニマルと威圧が同居する例として重要。

装飾を削いだ柱の律動 / 強い軸線と対称 / 石の平滑な面 / 巨大な開口部のない壁

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Chicano Art — チカーノ・パークの壁画群(サンディエゴ)— Wikimedia Commons / CC BY-SA 4.0 · © Leirbag00

Chicano Art

チカーノ・アート / 1965– / スタイル / 社会運動と版画

メキシコ系アメリカ人の公民権運動から生まれた表現。壁画、シルクスクリーンのポスター、ローライダー、レタリングが一続きの語彙をなし、アステカの図像とカトリックの聖像と英語・スペイン語の混成文字が同じ画面に置かれる。運動が様式を作った実例。

壁画の物語的構成 / アステカとカトリックの図像の併置 / 二言語混成のレタリング / シルクスクリーンの強い色面

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Impressionism — クロード・モネ《印象・日の出》1872年 — Wikimedia Commons / Public domain

Impressionism

印象主義 / 1860s–1880s / スタイル / 絵画技法

戸外へ出て、目に入る光そのものを速い筆致で捉えた運動。輪郭線を捨て、影を黒ではなく補色で置き、同じ対象を時刻ごとに描き分けた。以後の前衛はほぼ全てこの運動への賛否として自らを定義している。

分割された短い筆触 / 黒を使わない影 / 戸外の自然光 / 一瞬を捉えた構図

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Post-Impressionism — フィンセント・ファン・ゴッホ《星月夜》1889年 — Wikimedia Commons / Public domain

Post-Impressionism

ポスト印象主義 / 1880s–1900s / スタイル / 絵画技法

印象主義の即興性に飽き足らず、構造・象徴・感情をそれぞれの方法で取り戻した画家たちの総称。一つの様式ではなく、点描・平坦な色面・うねる筆致という別々の答えが並立する。20世紀の抽象はここから分岐した。

構築された筆触の秩序 / 平坦で強い色面 / 感情を担う線のうねり / 主題より形式の探究

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Renaissance — マザッチオ《聖三位一体》1425〜1428年 — Wikimedia Commons / Public domain

Renaissance

ルネサンス / 14th–16th century / スタイル / 歴史様式

古代の比例と人体を再発見し、線遠近法で三次元を平面に定着させた運動。数学が絵画と建築の共通言語になり、対称・柱式・黄金比といった以後五百年の規範がここで確立した。

一点透視の線遠近法 / 古典柱式と対称 / 人体の比例に基づく構成 / 明快な三角構図

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Neoclassicism — ジャック=ルイ・ダヴィッド《ホラティウス兄弟の誓い》1784 — Wikimedia Commons / Public domain

Neoclassicism

新古典主義 / 1760s–1830s / スタイル / 歴史様式

ロココの装飾過多への反動として、ポンペイ発掘に触発され古代の簡素さへ戻った運動。輪郭は硬く、色は抑えられ、主題は市民の徳を説く。革命期の国家がこの様式を自らの顔に選んだ。

硬く明快な輪郭線 / 抑制された色数 / 古代の主題と衣装 / 浅い舞台のような空間

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Pre-Raphaelite — ジョン・エヴァレット・ミレイ《オフィーリア》1852 — Wikimedia Commons / Public domain

Pre-Raphaelite

ラファエル前派 / 1848–1900s / スタイル / 世紀末芸術

ラファエロ以後の型を捨て、初期ルネサンスの明快さへ戻ろうとした英国の同盟。白地に透明な絵具を重ねる技法で色が異様に冴え、細部を等しく描き込むため、どこにも視線の逃げ場がない。

白地から起こす鮮烈な色 / 隅々まで等しい描写密度 / 中世と文学の主題 / 自然物の植物学的な正確さ

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Gothic Revival — エドマンド・F・アラス《英国国会議事堂 貴族院議場》1913年 — Wikimedia Commons / Public domain

Gothic Revival

ゴシック・リヴァイヴァル / 1740s–1900s / スタイル / 歴史様式

産業化と古典主義への異議として、中世の尖頭アーチと垂直性を意図的に選び直した運動。単なる懐古ではなく、様式の選択が道徳や国民性の主張になるという考え方をつくった。

尖頭アーチと垂直の強調 / リブ・ヴォールトと小尖塔 / 石と鉄の併用 / 中世写本を引いた装飾

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Sōsaku-hanga — 山本鼎《漁夫》1904 — Wikimedia Commons / Public domain

Sōsaku-hanga

創作版画 / 1904–1960s / スタイル / 日本の木版画

絵師・彫師・摺師の分業を否定し、自画・自刻・自摺をひとりで担うと宣言した運動。技術的な完成度より作者の手つきを残すことを選び、同時代の新版画とは正反対の道を採った。

彫り跡を残す粗い線 / 自画自刻自摺 / 歪みや刷りムラの許容 / 作家個人の主題

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Nihonga — 橋本雅邦《白雲紅樹》1890年 — Wikimedia Commons / Public domain

Nihonga

日本画 / 1880s– / スタイル / 東アジア絵画

西洋画の流入に対して、岩絵具・膠・和紙や絹という材料の側から「日本の絵画」を定義し直した近代の枠組み。伝統的な技法を守りながら主題と構図は近代化するという、材料先行の折衷が特徴。

岩絵具の粒子と発色 / 膠で描く層の重なり / 絹本・紙本の地の白 / 輪郭線と平面性の保持

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Gekiga — AI生成の解釈イメージ
AI解釈イメージ(参考作品ではない)

Gekiga

劇画 / 1957–1970s / スタイル / イラストレーション様式

子ども向けの「漫画」と切り離すために辰巳ヨシヒロが立てた呼称。細い描線と濃い陰影、映画的なコマ運びで、大人向けの社会性と暴力を扱った。以後の漫画表現が扱える主題の幅を決定的に広げた。

細く硬い描線 / 強い明暗と黒ベタ / 映画的なコマ割り / 現実的な人体と背景

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Shōjo Manga — AI生成の解釈イメージ
AI解釈イメージ(参考作品ではない)

Shōjo Manga

少女漫画 / 1950s– / スタイル / イラストレーション様式

心理を空間に翻訳する独自の文法を築いた領域。コマの枠を破り、背景に花や星を散らし、内面の声を欄外へ流す。人物の大きな瞳と重ねられた画面は、時間ではなく感情の流れを描くための装置である。

枠を越える人物とコマ / 背景に流れる花と光 / 大きく描き込まれた瞳 / 欄外へ溢れるモノローグ

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Anime Style — ダニー・チュウ/画・莇夕子《末永みらい》Culture Japan のキャラクター 2011 — Wikimedia Commons / CC BY-SA 2.0 · © Danny Choo

Anime Style

アニメ絵 / 1960s– / スタイル / アニメーション技法

限られた枚数で最大の情報を出すために、日本のテレビアニメが積み上げた作画の約束事。統一された記号的な顔、輪郭線の明快さ、止め絵と効果で速度を演出する手法が、世界中の絵柄に影響を与えた。

記号化された目鼻の配置 / 均一な太さの輪郭線 / 陰影を二段で割る塗り / 止め絵と速度線の併用

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Material Design — Google《Material Design》のUIコンポーネント — Wikimedia Commons / Public domain

Material Design

マテリアルデザイン / 2014– / スタイル / Google UI

紙とインクという物理の比喩を、影と重なりの規則へ落とし込んだ設計体系。要素に高さを与え、影で階層を示し、動きに物理的な因果を持たせる。以後のUI設計が「体系として配布される」ことの雛形になった。2021年の改訂では、端末の壁紙から色体系を導いて利用者ごとに配色が変わる仕組みが加わった。

高さで表す階層と影 / 紙のような面の重なり / 因果を示すモーション / 規格化された余白の単位

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Shibori — 歌川広重《東海道五十三次名所図会 四十一 鳴海 名産有松絞店》1855年 — Wikimedia Commons / Public domain

Shibori

絞り染め / 8th century– / 技法 / 染織の伝統

布を縫い、括り、板で挟んでから染めることで、圧力のかかった部分だけが白く残る技法。仕上がりは職人の手の力と布の動きに委ねられ、同じ型でも二つと同じ模様は出ない。

括りが残す滲んだ白 / 縫い締めによる規則的な粒 / 板締めの幾何学的な地紋 / 布の凹凸が残る質感

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Ikat — パタン・パトラの経緯絣(インド・グジャラート、インドネシア向け交易布) — Wikimedia Commons / CC BY-SA 4.0 · © Jainamishra

Ikat

絣 / ancient– / 技法 / 染織の伝統

織る前の糸を括って染め分け、織り上がったときに模様が現れるよう計算する技法。糸のわずかなずれが輪郭を滲ませ、その揺らぎが絣の指紋になる。設計と偶然が同じ工程に同居する。

輪郭が滲む模様の縁 / 経糸と緯糸の染め分け / 計算された色の位置 / 織りのずれによる揺らぎ

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Suminagashi — 西本願寺本三十六人家集『貫之集』上巻 墨流し料紙 12世紀初頭 — Wikimedia Commons / Public domain

Suminagashi

墨流し / 12th century– / 技法 / 紙の装飾

水面に落とした墨が広がる同心円を、息や筆で乱してから紙へ写し取る技法。一枚ごとに現れる流れは再現できず、平安の料紙装飾から現代の装丁まで、偶然を意図的に招き入れる方法として続いている。

同心円が乱れた流線 / 墨の濃淡による層 / 一枚ごとに異なる紋様 / 水面の張力が残る縁

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Chromolithography — リービッヒ社のトレーディングカード《ナポリの女》19世紀 — Wikimedia Commons / Public domain

Chromolithography

多色石版 / 1830s–1930s / 技法 / 平版印刷

色ごとに石版を用意し、正確な見当合わせで重ねる多色印刷。十数版を重ねて油彩のような発色を出し、複製画・ラベル・ポスター・カードを大量に世へ送り出した。色刷りの大衆化はここから始まる。

十数版を重ねた濃厚な発色 / 版ごとの見当のわずかなずれ / 平坦なベタと点描の併用 / 縁飾りと金の併用

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Iznik Pottery — イズニクの大皿 16世紀末 撮影 Faqscl — Wikimedia Commons / CC BY-SA 4.0

Iznik Pottery

イズニク陶器 / 15th–17th century / スタイル / 陶磁の様式

オスマン帝国の窯が到達した、白い胎に鮮烈な青と赤を置く陶器。チューリップやカーネーションが渦を巻いて器の曲面を回り、モスクの壁面タイルでは幾何学と植物文が一枚の壁で共存する。

白い胎と透明釉の輝き / コバルト青と盛り上がる赤 / 渦を巻く植物文 / 曲面を回る連続構図

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Literati Painting — 倪瓚《六君子図》1345年 — Wikimedia Commons / Public domain

Literati Painting

文人画 / 11th century– / スタイル / 東アジア絵画

中国の士人の教養と自己表現を重んじる絵画の系統。筆致を人格や古画の学習と結び付け、絵、詩、書、印を関係させる。作家や時代によって細密さ、色、職業との関わりは異なるため、非職業画家が売らずに描いた絵だけとは定義しない。

書に通じる筆触と古画の引用 / 絵と詩、書、印の関係 / 墨の濃淡と作例ごとの淡彩 / 主題と筆致に託す個人の表現

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Platinum — Mac OS 8.1 のデスクトップと「このMacについて」 — Wikimedia Commons / CC0

Platinum

プラチナ / 1997–2001 / スタイル / Apple UI

Apple が Mac OS 8 の既定の外観に与えた名で、外観を差し替える Appearance Manager と一緒に配られた。彩度を捨てた灰色だけで組み、押せる部品は面取りして浮かせ、押せない部品は平らにして地へ沈める。太い窓枠は、縁のどこを掴んでも窓が動く合図だった。

彩度を持たない灰色階調だけで組まれた窓と部品 / 有効な部品は面取りで浮き、無効な部品は平らになって地の灰色に沈む / 立体的に太い窓枠と、枠をほとんど持たないモーダル対話箱が同居する / タイトルバー右端の折りたたみ箱と、押しボタンのように立体化した二重三角のポップアップメニュー

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Apple Desktop Interface — Macintosh System 3 の画面 1986 — Wikimedia Commons / CC0

Apple Desktop Interface

アップル・デスクトップ・インターフェース / 1984–1997 / スタイル / Apple UI

Appleが1987年刊のガイドライン書で自ら「The Apple Desktop Interface」と名付けた初代Macintosh系の画面言語。白黒1ビットの制約下で、網点の中間調、角の丸い窓、横線を重ねたタイトルバー、太いビットマップ書体という型を明文化した。

白と黒の2値しかなく、灰色は市松状に置いた黒い点で作る / 窓の四隅が丸く、タイトルバーに細い横線が何本も走る / 画面の最上部にメニューバーが固定され、その左端にアップルのマークが座る / Chicagoの太いビットマップ文字が、9×7ドットの枠に押し込まれている

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収録方針

IndexStyleは、デザインの周辺で使われる言葉を何でも載せる一覧ではない。独立項目にするのは、見分けられ、再現でき、近い様式との差を説明できる視覚言語だけ。 収録基準

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