書体分類

文字の骨格を時代順にたどる系譜が中心にあり、その周りに活字を作り組む方法と、書体を世に出した工房が並ぶ。石刻から可変フォントまで。

辞書情報

  1. モジュラー・タイプシステム modernist–variable type / レイアウト

    文字サイズと間隔を少数の比率へ揃え、媒体が変わっても一貫する声をつくる。

  2. ローマン・キャピタル 1st–2nd century / スタイル

    石に刻むための幾何学的な比例とセリフを持つ大文字が、以後2000年のラテン文字の骨格と権威表現の原型になった。

  3. ブラックレター 12th century– / スタイル

    写本の筆致を垂直に凝縮した黒く密な文字で、ページを織物のように均質な黒みで満たす。活版印刷最初期の書体でもある。

  4. オールドスタイル・ローマン 15th–16th century– / スタイル

    ペンの運びに由来する斜めの軸と穏やかな線の強弱で、長文を疲れずに読ませる本文書体の基準を作った。

  5. イタリック 1501– / スタイル

    人文主義者の筆記体を活字化した傾いた文字で、省スペースの小型本を可能にし、のちに本文と別の声を担う役割へ移った。

  6. トランジショナル 18th century / スタイル

    軸を垂直へ立ち上げ、線の対比を強め、紙とインクまで含めて設計することで、活字を筆記から独立した造形物へ進めた。

  7. ディドーネ late 18th century– / スタイル

    極細のヘアラインと垂直の太い画の対比を極限まで進めた構築的なローマン体で、理性の時代の到達点と豪奢の記号を同時に担う。

  8. ファットフェイス c. 1803– / スタイル

    ディドーネの縦画を広告のために極端に肥大させた最初期の宣伝用書体で、遠くから叫ぶ見出しの原型になった。

  9. スラブセリフ 1815– / スタイル

    画線と同じ太さの角柱状セリフで文字を機械的な構造物へ変え、産業社会の広告と告知を支える頑丈な声になった。

  10. グロテスク・サンセリフ 1816– / スタイル

    セリフを捨てた無装飾の文字は当初「奇妙」と呼ばれたが、癖のある均質さが告知と見出しの新しい声になった。

  11. ネオ・グロテスク 1957– / スタイル

    グロテスクの癖を取り除き「中立」を設計目標に据えた文字で、戦後の合理主義とグローバル企業の声になった。

  12. ジオメトリック・サンセリフ 1927– / スタイル

    円・直線・三角へ字形を還元し、新しい時代の文字を手の習慣ではなく幾何学から構築しようとした。

  13. ヒューマニスト・サンセリフ 1916– / スタイル

    ローマン体の骨格と比例をセリフなしで保った文字で、機能的でありながら手の記憶を残し、公共サインの標準になった。

  14. 木活字ディスプレイ 1827– / 技法

    大判ポスターのために木から切り出した巨大活字が、極端な圧縮・拡張・装飾という見出し文字の語彙を作った。

  15. 明朝体 19th century– / スタイル

    楷書の骨格を彫刻に適した横細縦太の画線へ整理し、ウロコを持つ端正な字面で日本語の本文組みを支え続ける。

  16. ゴシック体 late 19th century– / スタイル

    画線の太さをほぼ均一に揃えた和文サンセリフで、見出しの強調から始まり、画面表示の本文へと役割を広げた。

  17. 写真植字 1924–1990s / 技法

    文字盤とレンズで文字を光学的に印字する組版技術で、詰め組み・変形・滑らかな輪郭という金属活字にない自由を持ち込んだ。

  18. モノスペース 1874– / スタイル

    タイプライターの機構の制約から生まれた等幅の文字が、下書き・伝票・コードといった「作業中の文字」の声として定着した。

  19. ハングル・タイポグラフィ 1446– / 1980s– / スタイル

    音の構造を幾何学へ写した文字ハングルの設計文化。1446年の『訓民正音』が示した子音・母音の組立原理を、現代のデザイナーたちが正方形の枠を破る「脱ネモクル」などの実験へ展開している。

  20. ITC様式 1970s–1980s / スタイル

    写植時代のニューヨークが生んだ大きなエックスハイトと詰め組の様式。ルバーリンの概念的タイポグラフィと『U&lc』誌が、文字を絵として演出する時代の顔をつくった。

  21. カリグラフィー復興 1906– / スタイル

    ジョンストンが中世写本の研究から再建した平筆の基礎書体(ファウンデーショナル・ハンド)に始まる、西洋書字の近代復興。地下鉄書体とギルへの継承で、手の文字がモダンデザインの源流になった。

  22. エミグレ 1984–2005 / スタイル

    Mac登場と同時にデジタルの粗さを美学に変えた雑誌と活字鋳造所。ビットマップ書体、レイヤーの衝突、読みにくさの擁護が、90年代のデザイン論争の中心で新しい実験の場を開いた。

一覧内の位置へ戻る