このガイドの選定基準
まずインクを運ぶ場所を見る。高い面、彫った溝、平らな版面、孔のどれかを確かめ、次に線・階調・紙を比べる。版画全体の年表や制作手順書ではなく、作例を読むための選んだ道筋である。 独立項目にする5条件
スタイルと分けているもの
見た目だけで技法を確定しない。複数の技法は併用され、画面の色だけでは紙の層や微細な粒が分からないこともある。所蔵館の技法記録を作例と一緒に読む。モノタイプと固定した版の変奏を分け、シン・コレは他の技法と併用する紙の支持体の技法として読む。
凸版:黒い面と白い切れ目を読む
木版とリノカットは切り残した高い面から刷る。木口木版は硬い木口で細かな白線を扱う。彫った版画を一括りにする前に、版材、工具、線の尺度を比べる。
062
Woodcut / 8th century–
削って残した面を刷り、線の方向と黒白の圧力で像を立ち上げる。
見分ける特徴: 彫りの方向 / 黒白の高対比 / 線の密度 / 版の物質感
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063
Linocut / 1890s–
滑らかな版を大胆に切り、少ない色と反復する人物・形に強いリズムを与える。
見分ける特徴: 大きな切り面 / 色版の重なり / 簡略化した人物 / 反復する動き
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770
Wood Engraving / late 18th century–present
硬く滑らかな木の木口を細い工具で彫り、残った高い面からインクを刷る凸版技法。細かな白線と黒い面、密な点や刻みで階調を作る。木目に沿う板目木版より精細な線を扱いやすく、金属版に黒線を彫るエングレーヴィングとは印刷の仕組みが異なる。
見分ける特徴: 黒い面を切り分ける細かな白線 / 小さな刻みや点の密度差 / 木目の影響が目立たない精細な線 / 文章と一緒に刷られる図版の尺度
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凹版:線を作る方法と階調面を分ける
彫刻凹版は工具で線を切り、ドライポイントはまくれにインクを持たせ、エッチングは防食層と腐食を使う。ソフトグラウンドは筆圧や接触面を写し、アクアチントとメゾチントは異なる版の処理で階調面を作る。
769
Engraving / Burin Engraving / 15th century–present
ビュランなどで金属版を直接彫り、溝に残したインクを紙へ移す凹版技法。制御された線の太さ、平行線、交差線の密度で量感と明暗を組み立てる。酸を使うエッチング、木口へ白線を彫る木口木版、物の表面への刻印とは区別する。
見分ける特徴: 太さを制御した明快な彫りの線 / 平行線と交差線による階調 / 密な線と白い紙の領域 / 形の向きに沿って流れる線束
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767
Drypoint / 15th century–present
針などで版へ直接傷を付け、その溝と縁に残るまくれ(バリ)にインクを保持して刷る凹版技法。線のそばに柔らかなにじみが現れ、強い黒と細いかすれが共存する。酸で線を腐食するエッチングとは工程が異なり、バリの摩耗で刷りの表情も変わる。
見分ける特徴: 直接引っかいた線の細かな揺れ / バリが生む柔らかな線の縁 / 強い黒と弱いかすれの対比 / 刷りの段階によって変わる線の濃さ
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134
Etching / 16th century–
防食膜を針で描き剥がし、酸で露出した金属を腐食させることで、手描きに近い細く流動的な線を版へ刻む。
見分ける特徴: 細く流れる線 / 腐食による深さ / 交差線 / プレートマーク
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776
Soft-ground Etching / 18th century–present
柔らかな防食層へ紙越しの筆圧や物の表面を写し、その跡を腐食して刷るエッチングの技法。鉛筆に似た粒のある線や、布・葉などの接触面の跡を版へ取り込める。直接版を引っかくドライポイントや、硬い防食層へ針で線を描く工程とは区別する。
見分ける特徴: 鉛筆に似た粒のある線 / 紙や接触物の表面の跡 / 細い線と柔らかな面のつながり / 圧力や接触で変わる像の密度
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768
Aquatint / 18th century–present
粒状の防食材などを介して金属版を腐食し、細かな凹みにインクを保持して面の濃淡を刷る凹版技法。線を増やすだけでなく、粒のある灰色や深い黒で明暗を分ける。水彩に似た調子を作れるが、水彩画そのものでもメゾチントの別名でもない。
見分ける特徴: 粒の集まりとして見える階調面 / 線と面で分担する明暗 / 腐食の段階で分ける濃淡 / 白い紙と深い黒面の対比
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133
Mezzotint / 1640s–
版全体を細かく荒らして深い黒をつくり、磨いて明部を起こすことで、線ではなく柔らかくビロード状の暗部から像を浮かべる。
見分ける特徴: ビロード状の黒 / 暗から明へ / 柔らかな階調 / 面を磨く光
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平らな面、孔、組み立てた版を比べる
リトグラフは処理した平らな版面、スクリーンプリントとポショワールは孔版の原理で読む。モノタイプは一回性の強い版上の像、コラグラフは材料で組み立てた版や加工した面から刷る。見た目が重なるときは工程の記録へ戻る。
131
Lithography / 1796–
油と水が反発する原理を使い、石や金属板へ描いたクレヨン・墨の筆致を、描画の柔らかさを保ったまま複製する。
見分ける特徴: 脂性クレヨン / 石や金属板 / 描画的な濃淡 / 多色の版重ね
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130
Screenprint / 20th century–
メッシュ上の版を塞ぎ分け、スキージーでインクを押し通して、硬い輪郭と均一で強い色面を層ごとに刷る。
見分ける特徴: 硬い輪郭 / 平坦な色面 / 版ごとの重なり / わずかな見当ずれ
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066
Pochoir / 1890s–1930s
型紙ごとに色を刷り重ね、印刷物へ手彩色に近い鮮明な面と繊細な差をつくる。
見分ける特徴: くっきりした色面 / 型紙の縁 / 手彩色の差 / ファッション図版
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771
Monotype / 17th century–present
滑らかな版面へインクや絵具を置き、加えたり拭き取ったりした像を紙へ転写する版画技法。筆の跡、拭いた光、途切れる輪郭が一回の転写へ集まる。通常は一枚の強い刷りを得るが、残ったインクから薄いゴーストを刷ることもある。固定した版の像を反復する版画とは分ける。
見分ける特徴: 版面で加えたり拭いたりした跡 / 薄い輪郭と大きな調子のまとまり / 筆致と転写の質感の重なり / 次の刷りに残る薄いゴースト
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775
Collagraph / 20th century–present
紙、布、ひもなどの材料を版へ貼ったり表面へ加工を施したりし、その凹凸から刷る版画技法。材料の縁と手触りが像を作り、凸版・凹版のインク付けを組み合わせることもある。貼った材料を完成作として見せるコラージュ、写真製版のコロタイプとは区別する。
見分ける特徴: 貼った材料の縁が刷りへ現れる / 布や紙などの面の手触り / 凹凸とインクの保持が作る濃淡 / 線、面、圧痕が重なる構成
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写真製版と紙の層を見る
フォトグラヴュールは写真の像を凹版へ移し、コロタイプは微細な不規則網状構造を持つゼラチン版面から刷る。シン・コレは印刷と同時に薄い像の紙を厚い支持紙へ貼り、複数の技法に組み合わせられる。
772
Photogravure / 19th century–present
写真などの像を写真化学的な工程で凹版へ移し、インクで紙へ刷る技法。連続的に見える濃淡と細部を、印刷インクと紙の表情で見せる。写真のネガから刷っても銀塩写真そのものではなく、平版系のコロタイプや商業用の輪転グラビアとも文脈を分けて読む。
見分ける特徴: 写真に由来する細部と階調 / 紙へ沈む濃いインクの黒 / 細かな粒の連続した濃淡 / 版の像と紙面の関係
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773
Collotype / 19th century–present
写真の像をゼラチン層を持つ版へ移してインクで刷る写真製版の技法。微細で不規則な網状の構造が、細部と滑らかな濃淡を表す。規則的な網点によるハーフトーンとは異なり、写真や美術作品の復製にも使われた。コラグラフとは名前が似ても版の作り方が違う。
見分ける特徴: 写真や原画に由来する精細な像 / 連続して見える滑らかな階調 / 拡大時の不規則で微細な網状構造 / 規則的な網点が見えない調子
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774
Chine Collé / 19th century–present
薄い紙へ像を刷ると同時に、その紙を厚い支持紙へ貼り合わせる版画の技法。像の下に薄紙の色や質感が加わり、周囲の紙との境界が画面に働く。エッチングやリトグラフなどと併用でき、独立した描画技法や、紙を後から貼るコラージュ一般とは分ける。
見分ける特徴: 像の下にある薄紙の色や質感 / 周囲の支持紙との境界 / 刷られた線と薄紙の重なり / 薄紙と厚紙の二層の支持体
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