近現代美術運動
独立後の社会や複数の言語・工芸・信仰を、西欧近代の単純な追随ではない新しい絵画、彫刻、出版、公共空間へ組み直した地域固有の運動が並ぶ。
辞書情報
- フルーフィーヤ mid-20th century– / スタイル
20世紀半ば以降、アラビア文字の語、断片、単独の字形を、伝統書道の再現ではなく近代絵画、彫刻、グラフィックの構成要素へ変えた広域の美術傾向。文字を意味、身体的な筆致、文化的帰属、抽象形の間で往復させる。
- サッカーハーネ派 late 1950s–1960s / スタイル
1950年代末から60年代のイランで、街角のサッカーハーネ、巡礼地、民間信仰の奉納物、護符、鍵、数、文字を、絵画と彫刻の近代的な反復・集合・抽象へ組み替えた運動。西欧近代美術の形式と地域の物質文化を同時に扱う。
- カサブランカ美術学校 1962–1970s / スタイル
独立後のモロッコで、学校教育と展覧会を植民地型の美術制度から解放し、抽象絵画をアマジグの織物、宝飾、書、彩色天井、公共壁画へ接続した運動。絵を額縁の内側に閉じず、ポスター、雑誌、街頭展示へ広げた。
- ハルツーム派 1960s–1970s / スタイル
独立後のスーダンで、アフリカ、イスラム、アラブ、西洋の参照を一つの国民的または越境的な近代美術へ組み直そうとした、流動的で論争的な運動。アラビア書のリズム、単純化した人物や動物、地域の工芸と物語を抽象へ接続した。
- ンスッカ・グループ 1970s– / スタイル
ナイジェリア大学ンスッカ校を中心に、Uche Okekeと教え子たちが、イボ女性の身体・壁面装飾であるuliの流動線やnsibidiの記号を、紙、絵画、版画、布、彫刻の現代美術へ展開した系譜。細い線と余白が、物語と抽象を同時に運ぶ。
- もの派 late 1960s–1970s / スタイル
石、木、ガラス、鉄板、綿などを加工しすぎず出会わせ、物と空間、支持、重力の関係を露出させた日本の美術動向。形を作り込むのでなく、置く、立て掛ける、割れる、沈むという関係そのものを見せる。
- プログレッシヴ・アーティスツ・グループ 1947–1956 / スタイル
独立直後のボンベイで、植民地期のアカデミズムと民族主義的復古の双方から離れ、キュビスム、表現主義、インドの都市・宗教図像を個別に組み替えた画家集団。共通様式というより、近代性を地域から再構成する強い色面と歪んだ具象に輪郭がある。
- ウィーン・アクショニズム 1960s–early 1970s / スタイル
戦後オーストリアで、身体、液体、布、動物性素材、写真・映画記録を使い、絵画の身振りを儀式的な行為へ拡張した運動。完成した物より、身体に施される線、飛沫、拘束、反復と、その記録画面が視覚の核になる。
- トランスアヴァングァルディア late 1970s–1980s / スタイル
1970年代末のイタリアで、コンセプチュアル・アートの非物質性から離れ、神話、古典、個人的記号、激しい筆触を絵画へ戻した潮流。歴史を直線的に前進させず、複数の時代の図像を主観的に横断する。
- スタッキズム 1999– / スタイル
1999年にロンドンで始まり、コンセプチュアル・アートと美術制度へ反対して具象絵画を掲げた運動。自画像、都市、室内を、強い輪郭、平坦な非自然色、物語的な場面として描き、宣言文と公開抗議を制作の一部にした。
- ノイエ・スロヴェニッシェ・クンスト 1984– / スタイル
旧ユーゴスラヴィアのスロヴェニアで、Laibach、IRWIN、Scipion Nasice Sisters Theatreなどが、全体主義、宗教、国家、前衛の記号を過剰同一化によって再演した芸術集団。黒、赤、金、紋章、記念碑的対称性を、宣伝と批評の境界が揺れるほど厳密に使う。
- ソッツ・アート 1970s–1980s / スタイル
ソ連の社会主義リアリズムと宣伝記号を、Pop Artの引用、反復、皮肉で解体した非公式美術。英雄像、赤旗、標語、広告的な平面性を正確に再現し、ずれた組合せや空白によって国家の決まり文句を可視化する。