記号体系
誰が読めるかをあらかじめ決めて設計された記号が並ぶ。家を識別するもの、船どうしで通じるもの、指で読むもの、機械が読むものまで。
辞書情報
- アディンクラ 19th century– / スタイル
アカンの格言を図形に圧縮した記号体系で、瓢箪の版で布に捺され、一つの図形が一つの思想を運ぶグラフィック言語として機能する。
- 絵文字 1999– / スタイル
栗田穣崇がiモードのために設計した12×12ドットの176個から始まった、感情と事物の共有記号体系。MoMAが原初セットを収蔵し、ピクトグラムの系譜を会話の中へ延長した。
- 家紋 Heian period– / スタイル
円と線の分廻しだけで動植物や器物を幾何学化する日本の紋章体系。約2万種の型が白黒反転・正負の均衡で設計され、ロゴデザイン以前に「拡大縮小に耐える記号」を完成させていた。
- 西洋紋章学 12th century– / スタイル
戦場の識別から生まれた欧州の紋章体系。ブレゾンという言語による厳密な記述、限定された原色(ティンクチャー)の規則、分割と組み合わせの文法が、800年続く設計システムをつくった。
- 点字 1824– / スタイル
ルイ・ブライユが15歳で設計した、2×3の点で全文字を表す触覚の文字体系。指腹一つに収まるセルの寸法設計は、人間工学とタイポグラフィが一致した稀有な発明。
- 国際信号旗 1857– / スタイル
海上で文字と定型文を伝える旗の体系。遠距離からの識別だけを目的に選ばれた高コントラストの幾何学は、機能が生んだ抽象デザインの傑作群になった。
- 洗濯表示 1958– / スタイル
たらい・三角・四角・丸の4図形で衣類の扱いを国境なく伝える記号体系。数ミリのタグに洗濯・漂白・乾燥・アイロンの全指示を圧縮する、最小面積の情報デザイン。
- 錬金術記号 medieval–18th century / スタイル
物質と操作を秘匿と共有のあいだで記した記号群。惑星と金属を結ぶ図像体系は、化学記号に置き換えられて消えたが、神秘のグラフィックとして現代も引用され続ける。
- 校正記号 16th century– / 技法
組まれた紙面の誤りを余白との対話で正す記号言語。トルツメ・イキの往復や欧文のdele記号など、印刷の歴史とともに磨かれた「紙面上の編集プロトコル」で、この辞典のような組版物すべての背後にある。