出版と編集
紙を束ねて配るという形式に賭けた仕事が集まる。修道院の写本から個人のジンまで、作り手の規模は違っても編集の判断が形を決める。
辞書情報
- ザ・フェイス 1980s / スタイル
見出しの文字と記号を号ごとに作り替え、太い罫と黒帯で仕切った版面へ、写真と同じ強さで置く。
- 彩飾写本 late antiquity–Renaissance / スタイル
文字・絵・金彩を同じページ構造へ織り込み、読む時間を儀式的な体験へ変える。
- ライオット・ガール・ジン 1990s / スタイル
手書きとタイプ打ちの言葉を切り貼りし、コピー機の潰れた黒と傾いた紙面のまま複写する。
- プライベート・プレス 1891–1930s / スタイル
印刷の工業化への応答として、活字・紙・組版・製本を一人の理想のもとに統合し、書物を総合芸術として作り直した運動。
- ソビエト絵本 1920s–1930s / スタイル
革命後のソ連で前衛画家たちが手がけた児童書。レーベジェフらが構成主義の平面と単純図形を物語へ持ち込み、安価なリトグラフの絵本を20世紀ブックデザインの実験場に変えた。
- デヴィェトシル 1920–1931 / スタイル
チェコの前衛集団。タイゲが提唱した「ピクチャー・ポエム」と装丁術は、写真・活字・記号を詩として組む構成主義の抒情版で、戦間期プラハを書物デザインの実験場に変えた。
- パルプ雑誌の表紙 1920s–1950s / スタイル
安価なパルプ紙の小説誌が競った扇情的表紙。油彩の劇画的描写、危機の瞬間、叫ぶロゴタイプが、SF・ホラー・犯罪小説の視覚言語を鋳造し、後のペーパーバックとコミックに流れ込んだ。
- ペンギン・ブックスの表紙 1935– / スタイル
色帯三分割の初代表紙から、チヒョルトの組版規則、マーバーの罫線グリッドまで、ペンギンは「装丁を設計システムにする」ことを繰り返し発明し、ペーパーバックを近代デザインの教科書にした。
- 蔵書票 15th century– / スタイル
本の見返しに貼る小さな所有の版画。デューラー以来、紋章・寓意・蔵書家の細やかな自己像を数センチに彫り込み、書物文化と版画芸術が交差する私的なグラフィックになった。
- フォトエッセイ 1936–1972 / レイアウト
『LIFE』が完成させた、複数の写真を起承転結に編む誌面形式。見開きの大小関係、導入と結びの一枚、キャプションの声が、写真に物語の文法を与えた。
- 名刺判写真 1854–1900s / スタイル
ディスデリが特許化した名刺サイズの量産肖像。一枚のガラス板に8ポーズを焼き付ける経済が肖像を民主化し、著名人カードの収集とアルバム文化を生み、「共有される顔」の原点になった。
- アメリカ近代ブックジャケット 1940s–1950s / スタイル
ラスティグがNew Directionsで確立した、内容を図解せず記号と抽象で暗示するジャケット。文学の表紙を小さな現代美術に変え、戦後アメリカのブックデザインの水準を引き上げた。
- 恩地孝四郎の装幀 1910s–1950s / スタイル
表紙を絵の入る枠ではなく一枚の版画として扱う装幀。具象の挿画を置かず、抽象の形と色面を刷り、題名の文字もその面の一部として置く。
- フラサーバン late 1980s–mid-1990s / スタイル
グランジの崩しを、裕福で郊外化した大人向けの出版と広告へ落ち着かせた1990年代初頭の様式。セリフ体、古典図版、軟焦点写真を、下線や重なりで少しだけずらし、知性と生活の上質さを演出する。
- ペーパーバック・シック late 2010s– / スタイル
柔らかな色、文学的なセリフ体、平たい切り紙風イラスト、広い余白で、日用品を新しい独立系出版社の本のように見せるブランド様式。高級さを艶ではなく、編集された親密さからつくる。
- ユートピアン・スコラスティック late 1980s–late 1990s / スタイル
百科事典、教育CD-ROM、科学教材が、世界の知識を明るく完全に整理できると信じた1990年代の編集美学。古典的なセリフ体と高解像度の標本写真を、切り抜きコラージュとDTPの整った余白へ置く。