地域別グラフィック
国ごとの政治や検閲、印刷事情のもとで独自に育った視覚言語が並ぶ。多くはポスターで、外から来たものを作り替えた結果でもある。
辞書情報
- ポーランド・ポスター派 1950s–1980s / スタイル
絵画、比喩、手描き文字で、映画や舞台を直接説明せず心理的な一枚へ変換する。
- 戦後日本のポスターデザイン 1950s–1990s / スタイル
写真、平面色、書、伝統的モチーフを個々の作家が異なる方法で再構成した。
- チェコ映画ポスター 1950s–1980s / スタイル
映画の宣伝を、コラージュ、幻想的な描写、実験文字による独立した解釈へ変える。
- グラピュス 1970–1991 / スタイル
68年5月の学生運動から生まれたフランスの集団。手描き文字、飛沫、写真への落書きで、政治・劇場・自治体のポスターに祝祭的な荒々しさを持ち込み、洗練への抵抗を様式にした。
- 中国プロパガンダ・ポスター 1949–1980s / スタイル
建国から文革期の中国で大量配布された宣伝画。年画の民衆絵画伝統とソ連の社会主義リアリズムが融合し、紅色の太陽、上気した頬、未来を指す腕という独特の図像体系をつくった。
- ボリウッド手描きポスター 1930s–1990s / スタイル
ムンバイの映画ポスター工房が巨大なカンバスに油彩で描いた手描き広告。飽和した色、複数場面のモンタージュ、スターの顔の誇張が、デジタル印刷まで半世紀インドの街路を支配した。
- ガーナ手描き映画ポスター 1980s–2000s / スタイル
移動上映のために小麦粉袋のカンバスへ描かれたガーナの手描き映画ポスター。制約のない想像力がハリウッド映画を再解釈し、誇張と土着的恐怖が混ざる唯一無二の絵画様式になった。
- チチャ・ポスター 1980s– / スタイル
リマのクンビア興行から生まれた蛍光色のポスター様式。黒地に蛍光ピンクと緑の手描き文字が夜のバスからも読める強度で叫び、アンデスの都市移民の美学として再評価されている。
- パプニャ・トゥラ 1971– / スタイル
西部砂漠の先住民長老たちが儀礼の砂絵をアクリルとカンバスへ移した運動。点描の場と同心円・軌跡の記号が「国=土地の知識」を描く地図的絵画で、現代美術としての先住民美術を切り開いた。
- イランのポスター 1960s– / スタイル
モルテザー・モマイエズらが切り開いたイランのグラフィック。ペルシア書道の線とモダニズムの構成を融合し、革命と戦争を挟みながら、詩的隠喩で語る独自のポスター文化を育てた。
- ソ連映画ポスター 1924–1932 / スタイル
ステンベルク兄弟らが石版で組み立てた革命期の映画ポスター。フォトモンタージュ的な顔の拡大、斜行する文字、遠近の暴力的な誇張が、映画の運動感を一枚の紙面へ翻訳した。
- アングラ演劇ポスター 1965–1975 / スタイル
横尾忠則らが状況劇場・天井桟敷のために刷った日本のアンダーグラウンド様式。浮世絵・キッチュ・サイケデリアを衝突させる過剰が、近代主義への造反として世界に発見された。
- 東ドイツのデザイン 1949–1990 / スタイル
計画経済下で生まれたDDRの生活意匠。物資制約が生んだ簡素なプラスチック製品、国営広告の素朴なグラフィック、DEFA映画ポスターの詩情が、消えた国家の様式として再評価されている。
- トルコ共和国期ポスター 1920s–1950s / スタイル
イハプ・フルシがほぼ一人で築いた初期共和国の広告様式。平面的な人物、明快な色面、新正書法のラテン文字レタリングが、国家の近代化政策とグラフィックを一体化させた。