庭園の様式

自然をどこまで人の手で整えるか、という配分の違いで並んでいる。左右対称に刈り込む庭と自然に見えるよう作る庭が両端にあり、鉢の中の景も入る。

辞書情報

  1. 枯山水 Muromachi period– / スタイル

    水を使わず、砂紋と石組だけで水景と宇宙を表す日本の庭園様式。龍安寺の十五石が示す「引き算の構成」は、余白のデザインの原型として世界のミニマリズムに参照され続ける。

  2. 回遊式庭園 Edo period– / スタイル

    園路を歩くごとに景が編集されて現れる大名庭園の形式。池を中心に橋・築山・茶屋を配し、移動そのものを設計する。時間軸を持つ空間デザインの到達点。

  3. 露地 16th century– / スタイル

    茶室へ至る径そのものを庭とする形式。飛石・蹲踞・中門が歩速と心持ちを整え、市中に山居をつくる。到着までの時間をデザインする庭。

  4. 苔庭 14th century– / スタイル

    百余種の苔が地表を覆う西芳寺に代表される、時間と湿度が育てる庭。緑の濃淡だけで構成される面は、手入れと放置の均衡という日本的な美学の実演になっている。

  5. 借景 17th century– / 技法

    庭の外の山や森を構図に取り込み、生け垣や樹木で縁取って庭の一部にする技法。所有できない風景を設計に使う、最も大胆なトリミングの思想。

  6. イングリッシュ・ランドスケープ・ガーデン 1720s–1800s / スタイル

    幾何学を捨て「自然に見える」風景を人工で構築した18世紀英国の革命。うねる芝地、蛇行する湖、点在する神殿。絵画のような眺めを土地ごと造形し、公園の原型になった。

  7. フランス式整形庭園 17th century– / スタイル

    ル・ノートルがヴェルサイユで完成させた、軸線・対称・遠近法の庭。刈り込みと水面で自然を幾何学に従わせ、権力を空間の秩序として可視化した。

  8. イタリア式庭園 15th–17th century / スタイル

    斜面をテラスに刻み、階段・水路・噴水で水を演出するルネサンスの庭。ヴィッラ・デステの百噴水は、重力を設計材料にした水のエンジニアリング芸術。

  9. ペルシャ庭園 6th century BC– / スタイル

    十字の水路で四分割するチャハルバーグ形式の原点。砂漠に水と木陰の楽園を築く設計思想は「パラダイス」の語源となり、イスラム世界からムガルまで庭園の祖型を供給した。

  10. ムガル庭園 16th–18th century / スタイル

    ペルシャのチャハルバーグを大陸規模に展開したムガル朝の庭。水路の段差と白大理石のパヴィリオンが、タージ・マハルやシャーラマール庭園で建築と庭の完全な統合を実現した。

  11. 中国文人庭園 Song dynasty– / スタイル

    蘇州の古典園林に結晶した、山水画を立体化する文人の庭。太湖石の峰、漏窓の額縁、曲がる回廊が、狭い敷地に無限の景を畳み込む。

  12. 韓国庭園 Joseon dynasty– / スタイル

    昌徳宮後苑に代表される、地形を最小限しか動かさない朝鮮の庭。自然の谷と池に亭を置くだけの「手を加えない設計」が、東アジア庭園のもう一つの理想を示す。

  13. コテージガーデン 19th century– / スタイル

    実用の菜園から様式化された、あふれるように混植する英国の庭。ジーキルの色彩設計とシシングハーストの白の庭が、「計画された無造作」を芸術に高めた。

  14. トピアリー Roman era– / 17th century peak / 技法

    常緑樹を刈り込んで幾何学や動物を象る植物彫刻。数十年単位の成長を設計に組み込む、最も時間のかかる彫刻技法。

  15. 自然主義プランティング 1990s– / スタイル

    アウドルフが主導する、宿根草と草原の生態をモデルにした植栽設計。枯れ姿まで美しさに含める通年の設計思想が、ハイラインを起点に都市の公共空間を書き換えている。

  16. 盆栽 Heian period– / スタイル

    鉢の中に老樹の風景を凝縮する日本の生きた彫刻。幹の流れ・枝棚・根張りの様式語彙と、数世代にわたる手入れの継承が、時間そのものを作品にする。

  17. 生け花 15th century– / スタイル

    植物の線と余白で空間を構成する日本の花の芸術。池坊の立花から自由花まで、「花を生かす」構成術は、非対称とネガティブスペースの設計教本であり続ける。

  18. パルテール(刺繍花壇) 17th century– / レイアウト

    ツゲの刈込みで地面に唐草を「刺繍」する平面花壇。上階から見下ろされることを前提に設計された、地面そのものをオーナメント化するグラフィックデザイン。

  19. ブルレ・マルクスの景観 1930s–1994 / スタイル

    ブラジルの熱帯植物を抽象絵画のような色面で群植した、モダニズム景観の発明者。コパカバーナの波の舗道が示す通り、地面を一枚のグラフィックとして設計した。

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